USPが民主主義擁護の声明=企業家など3千人超が署名

26日、サンパウロ総合大学(USP)法学部が民主主義と選挙システムを擁護する声明(マニフェスト)を出し、企業家などを含む3千人以上が署名したという記事が複数のメディアに出た。
「民主的な法の支配を擁護するブラジル人への手紙」と題した声明では、ブラジルは現在、民主主義や共和制おける甚大な危機に直面しているとし、選挙結果を軽視する「根拠も証拠もない攻撃」を批判している。
同声明には、イタウ・ウニバンコ元頭取のロベルト・セツバル氏や前頭取のカンジド・ブラシェル氏、ナトゥーラ社共同経営者のギリェルメ・レアル氏を始めとする経済人から、芸術家や政治家、作家、サッカー選手、弁護士、USP教授、退任最高裁判事など3千人以上が署名。署名は現在も増え続けている。
声明は、8月11日午前11時にサンパ聖市の歴史的建築物「ラルゴ・デ・サンフランシスコ」で、セルソ・デ・メロ元最高裁判事によって読み上げられる。同建物は法学教授のゴフレド・ダ・シルヴァ・タレス氏が1977年8月に軍政に反対するための「ブラジル人への手紙」を読み上げた場所であり、現在はUSP法学部のある場所でもある。
新しい「手紙」は、ブラジルの現状と米国大統領選で起きた選挙結果の軽視や議会乱入、政治の混乱などを比較。選挙制度に対する国民の信頼と民主主義を揺るがすような事態は「権威主義的な怒り」の結果であり、米国同様、ブラジルでも成功しないだろうとしている。
シロ・ノゲイラ官房長官は26日、この声明はボルソナロ大統領を攻撃するものであるとし、「PIX導入で送金手数料などを失ったから銀行家が文句を言っている」と決めつけた。
だが、ボルソナロ氏が選挙結果を受け入れず、トランプ前米大統領のような問題を起こす事への懸念はブラジル・米国間の首脳会談時や、ボルソナロ大統領が各国大使や代表を集めて行った18日の会合前後にも取り沙汰されており、国際的な関心事となっている。
4年前の大統領選の前後は、警察が大学に踏み込んでの左派支援抑制行為や、殺人を含む暴力行為が頻発した事も思い出される。
8月11日は「手紙」読み上げ前にUSP法学部貴賓室で、サンパウロ州工業連盟やブラジル弁護士会その他の団体や企業家らによる集会も計画されているようだが、政治的な立場が各人、各団体で微妙に異なるため、参加への呼びかけはまだ調整中だという。
各々の立場には微妙な違いがあるかも知れないが、「今回の選挙は民主主義のテスト」との言葉がますます重みを増して来た。(み)