コロナ対策努力惜しまず?=ボルソナロ大統領国連演説

ブラジル国内メディアは20日、ボルソナロ大統領が国連総会で「(コロナ禍に対して)ブラジルは命と雇用を救うための努力を惜しまなかった」「経済は順調に回復している」と語ったことを冷ややかに報じた。
国内メディアの反応は、大統領が2020年のコロナ禍初期、新型コロナ感染症を「軽い風邪のようなものに過ぎない」と発言し、知事達の感染抑制政策に反対して、マスクを着けずに活動し、顰蹙を買ったことなどに起因している。
大統領はこの他にも、反最高裁デモやバイク行進(モトシアッタ)を扇動して、感染拡大環境を生じさせたり、ワクチン接種は受けないと公言し、あまつさえワクチン接種への不信感を植え付けるような虚報を流した。
また、薬効未確認の薬を新型コロナ緊急キットに組み込ませ、医療保険対応の病院で高齢者らにそれらの薬を強制的に使わせ、高齢者が適切な治療を受けられないといった事態も招いている。
ワクチン接種についても、20年10月には開始可能な状況にあったのに、ワクチンが中国製である事を理由に拒否。接種開始が21年1月17日まで遅れる事態を招いた。
20日現在のブラジルの新型コロナ死者数は68万5518人(感染者は3460万768人)に達し、大統領に「大量虐殺者」というレッテルを貼る人さえいる。
大統領は国連演説でコロナ禍初期から国民の経済的支援策についても考慮し、600レアルの緊急支援金を支給したとも語ったが、当初考えた支給額は200レアルで、議会との交渉によって増額したといわれている。
こうした事実がある中での冒頭の演説内容であるから、演説を聞いて首を傾げた人は少なくないだろう。国連演説を通じても支持者は増えなかったばかりか、演説映像も選挙活動に使用できない可能性がある。選挙戦終盤のこの時期、支持率で後塵を拝している大統領には逆風が続いている。(み)