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一次投票が決選投票を先取り=逆転、第3の道苦戦の背景

2022年10月6日

ルーラ氏とボルソナロ氏(twitter)
ルーラ氏とボルソナロ氏(twitter)

 一次投票が決選投票を先取りした――。大統領選や知事選の結果が直前の支持率調査と大きく異なった事に対し、そうした分析がなされている。
 今回の選挙でルーラ氏は、「ヴォト・ウーティル」を何度も訴えていた。これは当選見込みの低い候補への票は「死票」となるとして、有力候補への投票を勧めるものだ。
 コラム子の息子も、投票に行く直前、3番人気や4番人気の候補に投票したら自分の票はどこにも反映されなくなるのではないのかと訊いてきた。
 しかし、ルーラ氏が自身の一次投票当選を考えて訴えた「ヴォト・ウーティル」は、彼の意に反し、ボルソナロ氏に力を与える事になった。
 今回の選挙では、シモーネ・テベテ氏やシロ・ゴメス氏の得票率が支持率調査よりも低かった。これは、両氏を支持しながらも、投票すれば自身の票が「死票」になってしまうことを意識し、反PTという理由でボルソナロ氏らに投票先を切り替えた可能性を示唆している。
 サンパウロ州の知事選でタルジシオ・デ・フレイタス氏の票がフェルナンド・ハダジ氏の票を上回ったのも、当選見込みの低いロドリゴ・ガルシア現知事の支持者が、反PTを理由にタルシジオ氏に投票したからと見られている。
 有効な票の使い方をとの主張はある意味でわかるが、それでは市民が自分の希望や抵抗を示す機会を失う事にもなりかねない。決選投票では、どちらの候補も意にそぐわないとして棄権や白票、無効票が増える可能性もある。
 また、ルーラ派が一次投票で勝利できなかったのには、彼らに油断があったのも確かだ。ボルソナロ氏の選挙日の公共交通機関減便の企てを阻止するまではよかったが、直前の世論調査で圧倒的有利と知った支持者の中には投票へ行かない人もいた。どんな恩恵も利用されなければ意味はない。
 一方で、ルーラ派の労組関係者の中には、選挙会場などで政治的暴力に遭う恐れを訴える人もいた。訴えを受け、民間人の銃携行が禁じられた事で、暴力を恐れて投票に行くのを止めた人は当初の予想より減ったと思いたいが、決選投票でも安全確保は大きな課題だ。
 一次投票では暴力や不正はなかったと国際監視団も認め、褒めそやしたが、決戦投票も平和裏に行われ、真の民意が反映される事を願いたい。(み)

 


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