《記者コラム》お家芸なしでは盛り上がりにくい

26日からパリ五輪が開幕する。ブラジル内でも開幕が近づくに連れ報道の量は増えている。ただ、それが実際に国民の盛り上がりにつながるかは疑問だ。特に今大会に関しては大きなマイナス要因がある。
それは、男子サッカーが今大会に参加できないためだ。リオ、東京で2連覇。出場さえしていれば今大会でも金メダルの候補に数えられていたに違いない。だが、南米予選での無様な試合展開が災いし、まさかの予選落ちとなった。
もし出場していれば、18歳になったばかりの神童エンドリックの出場こそレアル・マドリッドへの移籍直後で許可が出たかどうかは疑わしかったが、所属のバルセロナの来季の起用方針が不透明なヴィットル・ロッケの出場は十分あり得たし、パルメイラスが現在エンドリックに代わって売り出し中の17歳エステヴォンの招集もありえるなど、楽しみな要素は確実にあった。
また、仮に勝ち進めば、パリとの時間差によりブラジルの時間で深夜や早朝の中継がありえないため、試合をシュラスコのつまみ代わりに見ることも可能で、その分の肉やビール代も今大会でブラジルはかなり損したことになる。
そう考えると、つくづく惜しいと思っていたが、現在、「五輪がいつもに比べ盛り上がっていない」と言う別の声を聞いた。地球の真裏、日本からだ。彼の国で最近行われた世論調査で国民の46%が「興味がない」と答えたというのだ。
これは少し意外な感じがした。日本は1964年の東京大会以来、五輪は常に人気で、4年ごとに国民的な盛り上がりを見せてきた。競技での実績も国際的にトップレベルで、ブラジルよりも圧倒的に楽しみな要素に溢れている。その国でここまで無関心との結果が出るとは正直思っていなかった。
だが、今回の競技概要を知って、少し納得した。それは今大会で、野球とソフトボールが種目から外されたことだ。これは日本にとっては非常に痛いものだ。サッカーの人気が上がってきたとはいえ、日本で最も人気のスポーツはどれだけ時を経ようが野球。その熱狂ぶりはブラジルにおけるサッカーと大きな差があるとは思わない。野球の類似スポーツである女子のソフトボールも常に金メダルが狙える競技でもあることから、野球ファンが熱狂して盛り上がる。
とりわけ野球熱は、近年の大谷翔平のメジャー・リーグでの無双とも言える大活躍ぶりや、野球版のW杯に当たるワールド・ベースボール・クラシックでむしろ世界に目を向ける形で盛り上がっていた。その矢先に五輪に含まれないのなら、盛り上がりに欠けても仕方がない。
奇しくも、ブラジルも日本も直近の五輪のホスト国だが、そうした効果よりもやはりお家芸か。(陽)