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《記者コラム》展開はキャンペーン次第=「セレブ選」のサンパウロ市長選挙

2024年8月16日

討論会でのタバタ氏(Reproducao)
討論会でのタバタ氏(Reproducao)

 16日からブラジルの選挙戦ではお馴染みの選挙放送が始まる。月曜から金曜日の決まった時間帯に、30分ほど選挙候補者のCMが流れる。通例だと昼ご飯どきの午後1時や、最も多くテレビが見られている時間の午後8時に行われる。テレビやラジオをつけている人は否応なく選挙放送に接することが多くなる。

 この放送時間帯以外にも、一般企業のCMに混じって15秒のスポット選挙CMが放送されるので、サブリミナル効果の要領で候補者のことが頭の中に残り続ける。コラム子も2012年の市長選からこれを隔年(市長選と大統領選が2年おきに交互)で体験しているが、かなりのインパクトをその都度感じている。
 今年の聖市市長選の選挙キャンペーンは特に楽しみだ。なぜなら、今回の選挙はこれまでのどの選挙よりも有名な候補が揃った、差し詰め「セレブ選」と言えるものだからだ。
 現在の選挙戦の状況は、現職でボルソナロ前大統領の支持を受けているリカルド・ヌーネス氏(民主運動・MDB)と、前回選挙で次点だったホームレス労働運動(MTST)リーダーのギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)の2人がトップ争いをしている。
 この2人に加え、人気ニュースキャスターとして知られるジョゼ・ルイス・ダテナ氏(民主社会党・PSDB)、自己啓発系インフルエンサーのパブロ・マルサル氏(労働刷新党・PRTB)、ハーヴァード大学卒業の30歳の才媛タバタ・アマラル氏(ブラジル社会党・PSB)の3人が絡む。
 世論調査では先頭を走る2人の支持率が20%強、それを追う3人がそれぞれ10%の支持率を得ている。大統領選と異なり、市長選はキャンペーン期間中に支持率が逆転しやすい。その変化を観察するのも市長選の醍醐味の一つだ。
 キャンペーンの中でもとりわけテレビ放送の与えるインパクトは大きい。特に選挙戦の前半に多く見られる対立候補への批判的内容は強力だ。過去にこれがダメージとなって支持率を急落させた候補も少なくない。
 その点でコラム子が注目しているのが、ヌーネス氏からマルサル氏への批判キャンペーンだ。ヌーネス氏のバックについているボルソナロ氏にとっては、自身の支持者を奪っている保守、極右系候補のマルサル氏は目の上のたんこぶ。マルサル氏には過去の犯罪歴に関するスキャンダルが浮上しているので、そこを突いてくるのではないかと思われる。
 また、タバタ氏の出方にも注目している。彼女は8日の候補者討論会でヌーネス氏とマルサル氏に厳しい質問を行い、注目度を上げたばかり。キャンペーンでさらに評判を上げれば、22年大統領選でキャンペーン中に注目度を急上昇させ3位になったシモーネ・テベテ氏のような存在になるかもしれない。(陽)


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