《記者コラム》献血時に受けた連絡要請=輸血でデング熱感染報道の中

9~10月にかけて、コラム子自身が手術を受けたことのあるサンタカーザ病院の血液銀行から献血依頼が入り、同時に、知人の娘さんの友人に輸血が必要と聞いて献血し始めたパウリスタ血液銀行からも献血依頼が舞い込んだ。悩んだ末、サンタカーザ病院で献血を行うことにした。
血液検査の日は食事をせずに出かけるため、献血には向かないからと、予定が重ならないよう日を選び、朝食後に出かけた。ただ、今回は献血前の問診時に、強い運動は避け、水分を十分とるようにという、いつも通りの注意事項に加え、「14日以内に発熱、頭痛その他の症状が生じた時は直ちに連絡を」との要請を受けた。
これで思い出したのが、リオ州で起きた臓器移植によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染事件と、サンパウロ州で調査中の輸血後のデング熱感染事件だ。
リオ州のHIV感染事件は弊紙でも報じており、大半の方が知っておられるはずだが、輸血でのデング熱感染事件も、調査中の患者3人中1人が亡くなっており、決して軽くは扱えない事件だ。
輸血によるデング熱感染例をサンパウロ州保健局が調査中と報じられたのは、リオ州でのHIV感染事件の衝撃が色濃く残る18日だった(18日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)参照)。
報道によると、3人の患者の内の1人を治療した病院は、上半期に心臓手術をした際に輸血を行い、患者がデング熱を発症。輸血デング熱として扱ったという。この患者は重篤な感染症にならず、合併症も起きなかったため、臨床治療後に退院したが、被害患者の中には癌治療のために入院して輸血を受け、デング熱を併発して死亡した人もいるとある。
一連の記事によれば、州保健局は医療関係者に、輸血や臓器移植を受けた患者が15日以内に発熱、嘔吐、頭痛その他のデング熱感染が疑われる症状を呈した時は特に注意するように促している。
サンパウロ州保健局は事件報道に先立つ7月、プロ・サンゲ財団、エモレデ、中央移植機関などと、ドナーの症状チェックに関する血液銀行のガイドラインを盛り込んだ共同規範文書を発表している。同局は発表に合わせ、デング熱ウイルスには潜伏期間があり、献血者が感染に気付いていないこともあり得るため、輸血や臓器移植を受けた患者がデング熱ウイルスに感染した場合は、症例やドナー評価、原因調査のため、直ちに健康監視サービスと血液成分を提供した血液銀行に報告するように指示したともあった。これが先の血液銀行での連絡要請の理由だ。
科学者や研究者は、ドナーの血液中のデング熱やフラビウイルス科のウイルスを追跡するための新しい方法導入を保健省に求め、保健省も勧告を分析中だとか。B型やC型の肝炎、梅毒、シャーガス病、HTLVI及びIウイルス、HIV、マラリアへの感染の有無調査用キットは既に提供されているが、今後はこれにデング熱ウイルスも含められるだろう。
輸血や臓器移植を望む人もドナーも、自分や相手の健康や生活の質向上を願っている。リオのHIV感染事件では検察が新たな逮捕者も含む6人を起訴した(22日付G1サイトなど(5)(6)参照)。医療関係者の協力も得、誰もが安心して献血や臓器提供ができ、輸血や臓器移植を受けられる社会が作られ、守られるよう願いつつ。(み)