《記者コラム》コパカバーナ・ビーチが=新たな興行モデルの舞台に

3日にリオのコパカバーナ・ビーチで行われたレディ・ガガのフリー・コンサートは210万人を動員する大盛況ぶりだった。昨年も同じ時期にマドンナが同様のコンサートを行い、その時もかなりの話題を呼んだが、あの時も150万人。さらに勢いがついたことは明らかだ。
この成功でコパカバーナでのコンサートの定例化は決定的になっただろう。同地でのコンサートは90年代頃から行われており、話題にもなっていたが、開催間隔に開きがあり、かつ不定期で出演者の傾向にも連続性がなかった。
しかし今後は、マドンナ、ガガと2年連続の当たりが出たことでどういった方向でやっていけば良いかがハッキリした。ズバリ、「ディーヴァ」の祭典だ。女性アーティスト、しかも同性だけでなくLGBT、とりわけゲイからの支持が強いタイプのアーティストを呼ぶことだ。
これに限らず、とりわけここ10年ほどのブラジルのライブ興行において、こうしたディーヴァ系アーティストの人気はひときわ強い。それはロラパルーザのようなフェスティバルに行けばすぐにわかる。人気女性アーティストがラインナップの中心になる日には、女の子たちやゲイが大挙して集まり、彼らのパワーで会場中が圧倒される。あれを少しでも体験していれば、マドンナやガガの賑わいも全く不思議ではない。
ただ、これはとても皮肉かつ不思議な現象でもある。10年ほど前まで、ブラジルといえばむしろ世界的なヘヴィ・メタル消費市場だったのだから。今でも国際的なメタル・バンドのコンサート・ツアーがあればサッカー・スタジアムを数日間満員にできるが、あのメタルコンサートでのマッチョイズム全開の男臭さを知っている身からすれば、ほぼ180度支持層が異なる極端な音楽文化が共に巨大な人気を獲得するブラジルという国は見ていてかなり面白くある。
そしてLGBTの人たちにとっては、コパカバーナでのライブが自分たちの存在を主張できる、サンパウロ市のゲイ・パレードに次ぐ場所にもなりうる。彼らの誇りを刺激する意味でも、今現在の出演傾向にはこだわった方がいいように思う。
こうしたことから早速来年の出演者の物色が行われており、同傾向のビヨンセやリアーナの名前が候補として上がっている。この辺りのコンサートがもし実現すれば、イベントとしてはかなり強固になる。期待したいところだ。(陽)