COP30=ホテル代90倍に便乗値上げ⁉︎=パナマが開催地変更を要請へ

【既報関連】11月に開催予定の第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)を目前に、宿泊費高騰問題は依然として収束の気配を見せず、議長国のブラジルに対する国内外の不信感が一層強まっている。パナマ代表ジョアン・カルロス・モンテレイ氏は各国の要望が「聞き流されている」と主張し、国連に対して正式に開催地変更を要請する意向だと24日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
22日に行われたCOP運営委員会会合の場で、ブラジル側は各国代表団に対し、同問題に関する3度目の説明の場を持った。その直後、モンテレイ氏は自身のSNSにこの声明を投稿。その中で「これまで全地域が一致してブラジルに懸念を伝えてきたが、我々の言葉はまるで耳から入っても、すぐにもう一方の耳から抜けているかのようだ」と厳しく批判。
COP30の開催地パラー州ベレンでは、宿泊施設のキャパシティ不足に加え、1泊350米ドル(約5万1600円)を超える高額な宿泊費が問題となっており、多くが一般家庭での民泊であることも懸念材料となっている。この状況に対し、各国代表団からはたびたび改善要請が出されてきたが、ブラジル側の対応が不十分との見方が根強い。
SNS上では、ベレン市内の「ホテル・ノッタ10」が「ホテルCOP 30」へ改名し、宿泊料金を従来の1泊70レアル(約1910円)から6300レアル(約17万円)へと大幅に引き上げたとの投稿が拡散し、物議を醸している。投稿では、ホテルの旧看板と改名後の外観を比較した写真のほか、予約サイト上に表示された高額料金のスクリーンショットも添えられ、大きな反響を呼んだ。
ホテル側は取材に対し、こうした高額料金は試験的に掲載されたもので、実際には承認された予約はないと説明。現在は市場価格を見極める段階にあり、通常料金は1泊180~350レアルであるとしているが、国際会議を見越した〝便乗値上げ〟への懸念が払拭されていない。
モンテレイ氏は声明の中で「まるで別世界にいるかのような感覚に陥る。時間ばかりが無駄に流れ、我々は馬鹿にされているようだ」とも述べ、強い不満を表明。国連に対し、開催地の再検討を正式に求める考えを明らかにした。
一方で、ブラジル政府はこれまでに計48項目にわたる各国からの質問に回答したとしており、ミリアン・ベルキオール内閣官房事務局長は、「事態は沈静化しつつある」と説明。地元住民との協力による宿泊提供や、代表団支援のためのタスクフォース設置も表明している。
だが、COP30まで残り3カ月を切る中で、196の締約国のうち参加を正式に表明しているのはわずか47カ国にとどまっており、事態の長期化は会議そのものへの影響も懸念される。
国連側からはブラジル政府に対し、宿泊費を1泊100ドル補助するよう求める声もあったが、同国は「すでに多額の開催費用を負担しており、追加の補助は困難」としてこれを拒否している。