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【16日の市況】Ibovespaが1.49%高で13万9千台回復=ドルは5.5レアル割れに 昨年10月4日以来の安値

2025年7月10日

 短い取引週の幕開けとなった16日月曜日、ブラジル株式市場は力強い反発を見せた。主要株価指数Ibovespaは前週末比1.49%高の13万9,255.91ポイントで取引を終え、約2,043ポイントの大幅上昇となった。一時は心理的節目となる14万ポイント目前の13万9,988.36ポイントまで上昇する場面もあった。これは5月13日に記録した1.76%高以来、最大の上げ幅となる。

 外国為替市場でもブラジル通貨レアルが買われ、ドルは対レアルで1.03%安の5.486レアルと、昨年10月4日以来の安値をつけた。金利先物市場でも全体的に利回りが低下し、楽観的なムードが広がった。

中東情勢に緩和の兆し、原油価格は下落

 投資家心理を支えたのは、地政学リスクの後退感だ。特に注目を集めていたイスラエルとイランの対立について、さらなる軍事衝突への拡大は避けられるとの観測が強まった。これを受け、欧州、米国の株式市場も揃って上昇。国際原油市場では、WTI(米国産標準油種)が前営業日比1.67ドル安の1バレル=71.77ドル、北海ブレントも1ドル安の73.23ドルで取引を終えた。

 イランのペゼシュキアン新大統領は16日、「現段階で戦闘拡大の意思はない」と述べ、緊張緩和への意向を示した。ただし、イスラエル側は強硬姿勢を崩しておらず、最高指導者に対する攻撃も選択肢に含めているとの報道もあり、依然として警戒感は残る。

米中貿易摩擦への懸念も継続

 地政学リスクだけでなく、米中貿易問題も投資家の関心を集めた。先週発表された両国間の新たな貿易合意について、XPインベストメンツのアナリスト、マリア・イレーネ・ジョルダン氏は「米国の現行貿易状況にとって好ましい内容とは言えず、今後インフレ圧力や経済活動への影響が懸念される」と指摘した。特に輸入企業への負担増加が予想されている。

 一方、欧州連合(EU)は、米国からの追加関税受け入れに関する報道を「根拠のない憶測」と否定しており、今週カナダで開催されるG7サミットでの協議が注目される。

国内経済指標も好感材料に

 ブラジル国内でも複数の経済指標が市場を後押しした。まず、6月のIGP-10(卸売物価指数)は前月比0.97%の下落と大きなデフレを記録。5月の0.01%減少に続く2カ月連続のマイナスとなった。加えて、中央銀行の週次調査「フォーカス・レポート」ではインフレ見通しが3週連続で下方修正された。

 さらに、「GDP先行指標」とも呼ばれる4月のIBC-Br(ブラジル経済活動指数)は市場予想を上回る前月比0.2%の増加となり、国内経済の底堅さが意識された。

 G5パートナーズのチーフエコノミスト、ルイス・オタビオ・レアル氏は「金融政策は極めて引き締め的で、国際的な不確実性もある一方、労働市場は逼迫し、政府は総需要を下支えしている。どちらの力が勝るかは現時点では読みづらい」と分析した。

 市場関係者の視線は、18日に発表予定の中銀金融政策決定会合(Copom)の結果に向かっている。

銘柄別では鉄鉱石と航空関連がけん引

 個別銘柄では、資源大手ヴァーレ(VALE3)が3.26%高と好調。パラー州での生産能力倍増プロジェクトに向けた新たな許認可取得が好感された。鉄鉱石価格の上昇も追い風となった。

 金融株も総じて堅調で、特にB3(ブラジル証券取引所:B3SA3)は3.22%上昇。小売り関連ではマガジン・ルイザ(MGLU3)が6.71%高、ロハス・ヘネール(LREN3)が2.51%高、アサイ(ASAI3)も3.85%上昇した。

 中でも注目を集めたのは航空機メーカー、エンブラエル(EMBR3)で、5.34%の大幅高を記録。eVTOL(電動垂直離着陸機)の受注契約50機(総額2億5,000万ドル)や、ポルトガル空軍からの新型輸送機KC-390の追加発注が好感された。

ペトロブラスは小幅安

 一方、ペトロブラス(PETR4)は0.98%安と小幅ながら反落。国際原油価格の下落が重しとなった。WEG(WEGE3)も一時は下落していたが、最終的には0.35%高で取引を終えた。

今後の注目は米国小売売上高と中央銀行会合

 今後の市場材料としては、米国時間17日に発表予定の5月小売売上高が焦点となる。また、ブラジルのCopomに加え、米国連邦準備制度理事会(FRB)による金利決定も控えており、投資家の関心は引き続き高い。

 16日の市場は「リスクオン」の地合いが支配的だったが、この楽観ムードが続くかどうかは、今後の経済指標次第といえそうだ。


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