【18日の市況】ブラジル国内では財政懸念 Copomは利上げ継続でSelicを0.25ポイント引き上げて15.00%に=ブラジル株、わずかに反落 Valeやペトロブラス、金融株が重荷
18日のブラジル株式市場は小幅に反落した。主要指数のボベスパは前日比0.09%安の13万8,716.64ポイントで取引を終えた。下げ幅は123.38ポイントにとどまった。市場の関心は米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定に集中し、同日の取引では様子見ムードが広がった。加えて、ブラジル中銀による政策金利(Selic)の発表も、取引終了後に控えていたことから、一段の下落は避けられた。
ただし、ブラジル中央銀行(BC)はこの日の株式市場の取引終了後、Selicを0.25ポイント引き上げ、15.00%とした。
為替市場では、レアル相場が小動きとなり、対ドルでは0.04%安の1ドル=5.500レアルで引けた。債券市場では、将来の金利動向を反映するディアイ(DI)金利が全般に強含んだが、最終的にはまちまちで取引を終えた。
米FRB、慎重姿勢強める 「利下げは年内2回」に減速
市場最大の関心は、米連邦準備理事会(FRB)の動向だった。FOMCは政策金利を据え置き、声明では「インフレに対する明確な進展が見られるまで、現行水準を維持する方針」とした。年内の利下げ見通しは、これまでの3回から2回へと後退した。
パウエルFRB議長は記者会見で「インフレ圧力は依然として存在するが、その規模は不透明」と述べ、貿易摩擦による価格転嫁が物価を押し上げる可能性を指摘した。「関税コストは最終的に消費者に転嫁される」とも述べ、追加の関税措置による不確実性の高まりを警戒した。
CMキャピタルのエコノミスト、マテウス・ピッザニ氏は「物価動向のみならず、構造的要因による金利の長期的な上昇圧力も示唆されている」と分析した。
中東情勢への警戒感も 米国の対応に注目
同時に、市場はイランとイスラエルの対立激化にも目を光らせている。FRBもエネルギー価格への影響を注視しているが、今回の外交面ではトランプ米大統領が主役だ。トランプ氏は「イランがホワイトハウスでの会談を要請した」と主張する一方で、イラン側はこれを否定。トランプ氏は軍事行動について「もう対話には遅すぎる」と曖昧な姿勢を続けている。
ブラジル国内では財政懸念 Copomは利上げ継続
国内では、金融政策と財政政策の双方に不透明感が残る。ブラジル中央銀行(BC)はこの日の株式市場の取引終了後、Selicを0.25ポイント引き上げ、15.00%とした。市場予想は据え置きと利上げで分かれていたが、最終的に利上げが選択された。
経済界では「今回の利上げが当面の最終局面」との見方が広がる。BCは声明で「これまでの引き締め効果を見極めるため、しばらくは政策金利を据え置く」と明言した。2025年末まで現行水準を維持するとの観測が強まっている。
アセット・ワンのチーフエコノミスト、ルイス・セザリオ氏は「インフレ予想が高止まりする中、過度な利下げ観測を市場が織り込むのを防ぐ狙いがある」と指摘。「今年中の利下げ開始は現時点では極めて可能性が低い」と分析した。
アサ・インベストメントのエコノミスト、レオナルド・コスタ氏は「ブラジル中銀は次の一手として、長期間にわたる金利据え置きを明確にした」と語った。
ブラジル、実質金利で世界2位に浮上
国際比較では、ブラジルの実質金利水準がさらに際立っている。調査会社モネユーとLevインテリジェンスの集計によると、今回の利上げにより、ブラジルは世界40カ国の中でトルコに次ぐ「実質金利世界第2位」の座に浮上した。インフレ率を差し引いた実質金利は9.53%に達した。
Selic15%で100万レアルはどれだけ増える?
今回の利上げを受け、個人投資家にとっての資産運用環境も変化している。金融機関が取り扱う定期預金(CDB)や農業ローン(LCA)、住宅ローン債(LCI)、さらには国債(Tesouro IPCA+)の利回りも上昇している。
例えば、100万レアル(約2,700万円)を1年間、CDI連動型のCDBに預けた場合の税引き後利回りは約12.3万レアル(約325万円)に達する。2年間では約27.2万レアルの利益となり、これは同条件の他の金融商品を上回る水準だ。
一方で、税制優遇のあるLCIやLCAも短期では有利だが、政府が検討中の税制改革により、2026年以降は一律5%の課税が導入される見通しで、現行の非課税措置は終了する可能性が高い。