《記者コラム》緑に触れるとより健康に=運動も脳の老化を防ぐ?

16日発行の科学雑誌に、公園などに行って緑に触れる習慣のある人は薬の量も少ないという、フィンランドでの研究の結果が掲載されたと18日付R7サイトが報じた。
研究対象は3都市に住む25歳以上の人、1万6千人で、緑に触れる場所は公園や森、庭、動物園など。海や湖、川といった青色の自然物に触れる習慣の有無も加味されたという。
学歴や所得、使用中の薬の種類や量などの情報を全て提供したのは6千人だったが、週に3~4回、緑や青に触れている人は抗うつ剤や精神安定剤の使用量がそれらの場所に行かない/余り行かない人より33%少なく、高血圧では36%、喘息では26%、薬の使用量やリスクが少なかったという。
研究では、低所得者の方が緑に触れる事の効果が大きいという結果も出たようだ。公園や森、湖などは大気汚染や騒音の影響も少く、精神面の安定や身体機能の維持、向上に繋がる可能性がある。ただし、健康状態が良いから出かけられるのか、出かけるから健康状態が良いのかは更に研究が必要なようだ。
同様の事は運動についても言えるようだ。過去の研究では、運動は身体や脳の老化を防ぐとしてきた。だが、昨年12月20日付エスタード紙では、米国で行われた高齢者580人による瞑想などで「気づきの状態」を作るマインドフルネスのトレーニングや運動の効果確認研究で、運動やトレーニングでは思考や記憶能力の向上、脳の構造変化は見られなかったと報じている。
同研究は、「いつまでも頭脳明晰でいたいから運動や瞑想を」と考えていた中高齢者に実行をためらわせるものになるかも知れない。だが、1桁の数字の足し算や引き算、色の識別などのエクササイズが脳の老化を防ぐという研究もある。緑や青色の自然物に触れること、運動が精神面や肉体面に良い影響を与えることを日々の経験で知っている人は大勢いる。
コロナ禍で在宅勤務となってからは陽に当たる機会や運動する機会が減った。ビデオゲームなどに熱中し、家に籠りきっている人達はどうやって健康を維持しているのだろうかなどと思うコラム子には、こうした研究はなおさら気になる。
会館でのイベントや学校などでの対面授業、対面勤務の再開は人と合う機会の復活、拡大を意味する。人との触れ合いや、やろうと決断し、挑戦すること、何かを行うことで得られる満足感が健康に与える効果の研究も必要だろう。新しい年が全ての人にとって、健やかでより明るい毎日となる事を願っている。(み)