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《記者コラム》ブラジル芸能人のステータス基準とは=インスタ力が政治にも影響

2024年9月27日

歌手アニッタのインスタグラム(Instagram)
歌手アニッタのインスタグラム(Instagram)

 「インスタグラムでフォロワーが1千万人以上」――これが現在のブラジル国において、芸能人の世間的な影響力を示す基準値だと言って良いだろう。

 この辺りの感覚は日本とはまるで違うかもしれない。日本の場合は今も昔も、とかく「テレビ画面に露出すること」こそが良しとされる風潮がある。朝から晩までいろんな局に出まくって顔を覚えてもらう。それにスケジュールを奪われてしまい、寝る時間も満足に取れない。これが典型的なイメージだ。
 ブラジル国の場合、タレントは局との契約性なので、日本みたいにいろんな局をはしごすることがまず不可能だ。加えて、日本のようにバラエティ番組が多くないので、ゲスト出演する枠もない。テレビで有名になるには、契約先の人気番組に役者なり、司会者として出演することが一番の近道になる。
 音楽アーティストの場合は日本と違ってテレビに音楽番組が極めて少ないことから、有名になるには、セルタネージャやファンキといった音楽界隈のジャンル内で有名になるしかない。
 一旦有名になれば、次に威力を発揮してくるのがインスタグラムだ。タレントたちはプライベート写真などを公開し、自分が普段思っている意見を表明しながらファンと交遊を持ち、距離を縮める。ここが日本と決定的に違うところだ。
 ブラジル国ではインスタグラムの利用者が多い。インスタグラムは利用者がお互いの顔を見せ合ってコミュニケーションする傾向が強く、ブラジル国では圧倒的に一番人気のSNSサービスとなっており、人口の約半分の1億人近くが利用している。そうした利用者の多さを背景に人気タレントは1000万人を超える驚異的なフォロワーをつかむことが可能となる。
 それがゆえに、選挙が近くなると、こうした人気タレントたちが「誰に投票するのか」と、その発言がニュース紙面を賑わすことも非常に多い。とりわけ芸能人の政治発言力は、政治の二極化構造の影響などもあり、コラム子がブラジル国に越してきた2010年に比べると飛躍的に上がっている。
 日本でもインスタ利用者は増えているが、欧米のように自分の顔写真を載せてコミュニケーションを求める人は少なく、匿名性の強いXの方が相変わらず使い勝手がよさそうに見える。
 人気タレントなどもインスタは使うが、自己の日常紹介程度の投稿が多く、ブラジル国のようにファンたちに語りかけてコミュニケーションを図ったりするような光景はあまり見ない。ましてや政治的な発言などほとんど見ない。
 どちらが良いかは置いておくが、その違いは大きい。(陽)


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