《記者コラム》健康のため音楽を生活に=バンドまで持つ心臓科医も

神奈川県相模原市に70~90歳代の参加者が主体の昭和の歌を歌うグループがあり、コラム子の姉は同グループの活動に主催者側で参加している。9月末、姉は12月の定期公演のため、楽譜の調を変える移調の作業を行っており、今月1日の定期公演が終了次第その練習に入ると近況を教えてくれた。そして「歌は健康のためにも頭のためにもいいから、気分転換も兼ねて大声で歌いな」と言ってきた。
定期公演には150~160人が集まる。「みんな帰る時は晴れ晴れとした顔をしているから、準備その他の苦労もみな吹き飛ぶ」との姉の言葉には、当地のカラオケ大会やバンド演奏で歌うイベントのことなどを思い出し、さもありなんと思った。
不思議なことに時を同じくして、日本の音楽家が歌は健康にも良いと語っているという話やサンパウロ市在住のブラジル人心臓科医が自らも参加するポップ・ロックバンドの演奏会を開き、自作曲などを演奏しているという話(9月26日付G1サイト(1)参照)を聞いた。
姉は中・高時代に合唱部と英会話部を掛け持ちしていた。定年退職後に音楽関連の活動に参加し、アコーディオンを覚え、集会では司会や歌、演奏と忙しくしていることは知っていたが、偶数月開催の定期公演が来年で10周年となることは初耳。歌は健康のためにも頭のためにもいいから歌えというアドバイスは、この活動の中で実感してきたことなんだろうなとも痛感した。
歌が健康や頭のためにもいいことは、声を出すために肺や腹筋を使い、歌詞や楽譜を読み、覚え、感情を込めるなどの活動と関連しているのだろう。人々と共に一時を過ごし、声や音を合わせることは社会性という面でも良いはずだ。ボランティアとして参加したことがある高齢者向けのデイサービスでも、数曲の歌はプログラムの必須項目だった。
先述のサンパウロ市在住の心臓科医ナタン・ソウビエ氏も、バンド結成は最近だが、音楽は若い頃からの趣味で、音楽の勉強や作曲、演奏活動という趣味は本業の邪魔になったことがないと断言。同氏は心臓病院やオズワルド・クルス病院などで勤務しており、音楽は自分のキャリアにも想像以上の恩恵を与えてくれていると語る。パンデミックの間に開いたライブでは「無数の研究を例に挙げながら音楽は心臓にも良いと語った」とも述べ、音楽が体に良いというお墨付きを与えている。彼の初公開演奏会ではオリジナル曲やヒット曲のカバーなどを演奏し、前売り券は売り切れたという。
自分が演奏したり歌ったりする側につくか、聞く(聴く)側につくかは好みや選択の問題だが、何度も歌っている内に以前は出なかった音域の歌も歌えるようになったとか、新たなジャンルの曲も覚えたといった達成感も、きっとプラスに働くはず。
1日の定期公演は体調不良や家族の介護などのために来れない人もいたが、150人が集まったとか。カラオケやバンド演奏、コーラス、カラオケバーや大会、自宅など、歌う形や場所は様々ある。年齢や声、リズム感の有無に関係なく、毎日の生活の中で歌や音を楽しんでみませんか?(み)