《記者コラム》24年「180番通話」数は75万回=13万超は女性への暴力通報や苦情

女性省は4日、2024年の「180番通話」の通話回数が通信アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」からのものも含め、75万700回で、1日平均2051件だったと発表した。(1)「180番通話」は女性に対する人権侵害の報告を受け付けるサービスで、ワッツアップ(61・9619・0180)からも使える。女性省の対応センターは、通話内容を管轄機関に転送し、プロセスの進捗状況を監視する。
通話の多くは家を出た場合や子供の親権を失った場合、住居の権利を失った場合などの情報や手引きを求めるもので、人権侵害や暴力行為で悩んでいる女性に専門サービス機関を紹介し、女性の人権や保護施設その他に関する手引きを行ったりすることで、女性が決断を下すのを助けるという。
それでも、24年の場合、75万回の通話中、13万2084回は女性への暴力に関する苦情や通報で、前年を15・2%上回った。女性への暴力に関する通報中、8万3612回は被害者からのもので、第三者による通報が4万8316回、加害者からのものも156回あったという。これらの数字には、女性専門警察署や対応センターを直接訪れた例は含まれていない。
180番通話で告発や相談があった暴力は、精神的なもの10万1007件、肉体的なもの7万8651件、資産に関するもの1万9095件、性的なもの1万203件、道徳的なもの9189件、軟禁3027件で、複数の暴力を受けている人も多い。
州別の苦情件数はサンパウロ州の3万1227件を筆頭に、リオ州2万1528件、ミナス州1万2815件、バイア州9090件、リオ・グランデ・ド・スル州6153件と続く。大半は前年より増えており、1896件が2833件にと49%増えたマラニョン州や2万6026件が3万1227件にと20%増えたサンパウロ州などが目立つ。前年を下回った連邦自治体は二つのみだった。
年齢別では、40~44歳、35~39歳、30~34歳に半数以上が集中している。また、加害者は今のパートナーが1万7915件、以前のパートナーが1万7083件、暴力行為が行われた場所も被害者宅5万3019件、被害者と加害者の家4万3097件、加害者宅7006件と、家族も含めた親密な関係にある人から生活の場で被害に遭う例が多いことも明らかだ。
通報数の増加は、180番通話の存在がより知られ始めたことや、第三者からの通報も受け付けていること、告発、通報する勇気を持つよう促す人や出来事があったことなどが原因といえるだろう。
他方、5日付本紙「ブラジル万華鏡」コーナーにある、性的虐待後に警官となって犯人を逮捕した人(2)のように、家族にも話せない人も多いことから、通報に至る例は氷山の一角でしかない。

サンパウロ州保安局が1月31日に発表した数字などによれば、24年の同州の強姦事件は1万4579件で過去最多。内1万1169件は14歳未満の少女が被害者で、女性への脅威に関する被害届は5分に1件発生。女性殺人も新記録更新とあり、通報の有無に関わらず、死に至る例も少なくないことを心に留める必要がある。(3)(4)
被害者が通報や告発をためらう理由の一つは経済的な支えや親権その他の権利を失うことや人に知られること、報復措置などへの恐れで、180番通話が第三者からの告発も受け付けているのはそのためだ。ブラジルが家庭内暴力その他の女性の人権侵害撲滅に向け、国を挙げて取り組めるよう、心から願いつつ。(み)