《記者コラム》ネイマールのサントス復帰は正解か?

ネイマールがサントスに戻ってきた。年齢は33歳。これまでのブラジルサッカー選手の晩年を考えればよくあることで、不思議なことではない。ただ、それがブラジル代表(セレソン)での通算得点1位など数々の記録を打ち立てたレジュエンドのものともなると格別で、彼が数多の誘いの中から古巣を選んだことにはやはり特別な思いを抱かざるを得ない。
1月31日の本拠地ヴィラ・ベルミロで行われた復帰イベントが破格の規模になったことも頷ける。とりわけ「ペレの王位を継承する王子ネイマール」という演出には、サントスだからこそ出来る演出だなと思わず唸ってしまった。
まだ具体的な結果は何も出ていないが、ネイマールのサントス復帰は賢明な判断だとコラム子は思った。そして、これ以外に本人が熱望する2026年W杯出場の道もないと思う。
移籍先選びについてネイマールには、年齢と体力の問題があった。20代の頃の様には体も動かない。ある時期からは怪我も目立ち、フルにプレーできていない状態が続いていた。欧州のトップチームが金額に見合わないとして彼を欲しがらないのは明白だ。
もう一つ「アピール」の問題もあった。いくら中東の富豪チームに所属して、一生遊んで暮らせるほどの給料をもらいながら活躍しても、一般に試合が見られる機会は少なく、話題にもならない。それは米国のメジャーリーグ・サッカー(MLS)でも同じことだ。
それならばいっそのこと国内の方が良い。たとえ全盛期のような動きが出来なくとも、これまで積み上げた実績でブラジルのファンはこれを迎え、活躍でもすれば「さすが!」とばかりに、他の国でのプレーよりも大げさに騒いでもらえる。そうなれば本人としても当然モチベーションも上がる。地元サントスなら愛の大きさはなおさらのものだろう。
サントスとの契約は今年の6月までだが、こうした状況からさらなる移籍は得策ではないように思う。もっとも他にネイマールにとって魅力的なチームは限られたものだ。あるとすればMLSのインテル・マイアミ。ここならバルセロナ時代にフォワードのトリオを組んだメッシとスアレスがおり、加入となれば、かなりの話題と注目度になることは確かだ。そうでなければ国内のライバル、フラメンゴか。サントスの支払う給料次第では、リオに自宅を持っていることから移籍がありえないわけではない。それでもよほどのことがない限りは、W杯が終わるまでネイマールはサントスの所属となるだろう。
むしろ気にすべきは、今のセレソンに彼が必要なことを示すことだ。ヴィニシウス・ジュニオル、ラフィーニャ、ロドリゴ。さらにはサヴィーニョ、エンドリック、エステヴォンという強力な攻撃陣に割って入るのはなかなかに大変だろうが。(陽)