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クーデター捜査で遂に起訴!=ボルソナロが逃れる可能性は?

2025年2月21日

ボルソナロ氏(Saulo Cruz)
ボルソナロ氏(Saulo Cruz)

 ボルソナロ前大統領が18日、2022年大統領選後のクーデター未遂の嫌疑で検察庁から起訴された。
 この日が来ることは予想されていた。だが、いざそれが起こり、起訴状に書かれた文章を見るに、その文言は想像を超える重さだった。「武装犯罪集団の牽引」をはじめとした5つの罪状。仮にそれらが全て有罪になるとどうなるか。メディアはその実刑年数を28年、30年、39年、43年と様々に算出しているが、いずれにせよ、今回の嫌疑の大きさを物語っている。
 ボルソナロ氏は以前から2つの選挙法違反で被選挙権を失っているが、来年の大統領選にはそれでも登録する意向でいる。ルーラ氏が2018年にラヴァ・ジャット作戦で収賄容疑などで実刑に服していた時に取ったのと同じ戦法だ。ルーラ氏は2018年は失格になったものの2021年に被選挙権を回復させた。熱心なボルソナロ支持者たちは「ルーラ氏にできてボルソナロ氏にできないことはない」とばかりに奇跡が起こるのを信じているように見える。
 ただ、事態はルーラ氏のときほど簡単でないように思われる。ルーラ氏の場合、1審と2審の判決で実刑に服していたところ、1審担当のセルジオ・モロ判事(当時)の盗聴記録が明るみになり、以降、判事としての違反行為が続々と露呈され問題となったことで、最高裁が判決を無効化し、釈放になった。
 だが今回のボルソナロ氏の場合、裁判の管轄がいきなり最高裁となる。ここでいったん決定されてしまえば、上の立場から横槍を入れる存在がないため、結果を覆すのはほぼ不可能だ。ボルソナロ氏としてはここで無罪を勝ち取らないと政治家生命的に大きな支障となる。最高裁とボルソナロ氏の大統領時代からの関係を鑑みるに判決は厳しいものになるだろう。
 そうした中、ボルソナロ氏や彼の支持者らは現在、1月8日襲撃事件に関する恩赦法成立のために奔走している。司法上の手続きでボルソナロ氏の不利を逆転させることが困難であることがわかっているためだ。「裁判でダメなら法律を作ってガード」といったところだろう。
 しかし、恩赦法成立に向けて彼らが主張する「襲撃に参加した人で暴力行為を働いていない被告の罪状を軽くする」という部分はまだわかるのだが、これが「ボルソナロ氏の選挙違反を無効にできる」という主張に論理的に繋がるのかという問題がある。
 そしてその上、18日の起訴内容がかかってくる。起訴内容には大統領選の結果を条例を出して強引に変えようとしたことや、ルーラ氏の暗殺計画までが加わる。これらの重罪が果たして「恩赦」で簡単に無罪になりうるものなのか。全てはボルソナロ氏への判決が出ないと見えない。(陽)


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