site.title

《記者コラム》CBFの会長解任問題、吉か凶か?

2025年5月23日

エジナルド氏(Rafael Ribeiro/CBF)
エジナルド氏(Rafael Ribeiro/CBF)

 ブラジルサッカー界にまたも激震が走っている。代表監督がカルロ・アンチェロッティ氏に正式決定したのもつかの間、ブラジル・サッカー連盟(CBF)のエジナルド・ロドリゲス会長が電撃解任されたのだ。

 エジナルド氏の解任理由は何が真実かわからない泥沼の内容となっている。
 CBFでは2017年と21年に立て続けて起きたスキャンダルで会長が解任された。その後もCBFは会長継承者の基準も分からないまま運営を続け、組織内で派閥争いが起こっていた。
 エジナルド氏は22年に副会長から昇格する形で会長に就任したが、訴訟を通じて停職処分となる時があり、最高裁の仲裁で処分猶予をもらっていた状況だった。
 ここ数年はエジナルド体制が整いつつあり、本来来年に行われる予定の会長選挙も「ほとんどの州とクラブ・チームの支持を得た」としてエジナルド氏の会長継続が決まっていた。
 だが、そこからドンデン返しが起きた。CBFでは「会長継承者問題を終わらせよう」との意図で協約を結んだのだが、エジナルド氏側の委員の一人が高齢かつ病気で署名ができず、偽造署名を行ったとの疑惑が発覚した。これが仇となってエジナルド氏が解任されてしまったのだ。
 エジナルド氏としては、念願だったアンチェロッティ氏のセレソン監督就任にまでこぎつけた後に待っていたとんでもない落とし穴となってしまった。
 思い返すにその昔、CBF会長といえば「ずっと変わらない」のが当たり前だった。そのイメージを植えつけたのはリカルド・テイシェイラ氏。1989年から2012年まで実に23年間も会長だった。しかし、在任中から黒い噂が絶えなかった同氏が辞任すると、あとはもうボロボロ。後を継いだジョゼ・マリン氏、さらに後にマルコポーロ・デル・ネロ氏は汚職で解任。ロジェリオ・カボルコ氏はセクハラ告発で解任された。
 その後を受けたエジナルド氏は、あくまでも印象論ではあるがその前までに見られた黒い側面はあまり見せず、運営的にも安定した黒字経営を行っていたのだが、思わぬ解任となってしまった。テイシェイラ時代からの悪しき膿が出切ったのは今回なのか、それともエジナルド氏が膿の勢力に飲まれてしまったのか。その答えはいまの段階ではわからない。
 次期会長が有力視されるサミル・シャウジ氏はアンチェロッティ氏をセレソン監督で継続させることを約束しているが、果たしてこの会長交代劇が吉と出るか凶と出るか。(陽)


《記者コラム》パレスチナ問題解決のため=国連国際会議でブラジルも一役前の記事 《記者コラム》パレスチナ問題解決のため=国連国際会議でブラジルも一役《記者コラム》本門佛立宗と水野龍の遺志=日本移民事業は失敗だったか?=南米最大の仏教新寺院の意味次の記事《記者コラム》本門佛立宗と水野龍の遺志=日本移民事業は失敗だったか?=南米最大の仏教新寺院の意味
Loading...