商議所昼食会=「ビジネス機会に溢れている」=インフラ業界女性リーダー講演=日本企業が最初のキャリア

「ブラジルのインフラ・ビジネスは巨大なチャンスに満ちている」――衛生・エネルギー・通信などのインフラ業界において25年以上の経験を持つテレーザ・ヴェルナーリア氏が13日、サンパウロ市のラゲット・スチロ・サンパウロ・ホテルで開催されたブラジル日本商工会議所(羽地貞彦会頭)主催の定例昼食会に参加し、同業界のビジネスチャンスについて講演し、100人余りの参加者が真剣に聞き入った。
テレーザ氏はブラジル大手民間上下水道会社(BRK AmbientalのCEO)、上下水道分野の民間企業を代表する業界団体(ABCON SINDCON)の初の女性会長に就任した他、2020年には「年間最優秀エグゼクティブ」(Revista Exame 誌)に選出 され、国連の水・衛生に関するグローバル・コンパクト(ODS 6)のブラジル代表、持続可能な開発ビジネス協議会(CEBDS)リーダー会議メンバーなどを務めるなど業界では知らない人がいない存在。
テレザ氏は「1988年、サンパウロ州の田舎町から出てきたばかりで何の知識も経歴ない私を、ビジネスの世界に導いてくれたのは日本進出企業でした。だからこのような場で話をすることは、とても光栄です」と前置きした。彼女がキャリアを始めたのはNECド・ブラジルだった。
「地球上の真水の12%はブラジルにある。北東伯では上水道の70%が無駄になっているが、東京ではわずか3%だ。上下水道を整備するだけで、農村部の伝染病が劇的に減り、河川の環境汚染も減り、それが子供や高齢者の生活環境を変え、生存率や平均年齢にも関係してくる」とインフラ整備の大切さを説明した。
彼女も業界リーダーとして法制定に尽力したという「上下水道基本法」(法第14.026号/2020年)は、2033年までに国内で上下水道サービスの普及目標を定めた。主な目標は人口の99%に安全な飲料水へのアクセスを、90%に下水の収集および処理サービスを提供することだ。
「この目標を達成するには9千億レアルの投資が必要だと見られており、ここに巨大なビジネスチャンスがある。この分野はかつて公営企業中心で、民間企業参入比率は5%だったのが、今は30%まで上がっている」と説明し、最後に「私は40年間のキャリアがあるが、女性の上司がいたことは一度もない。女性が増えると企業が変わり、利益が増える。私の歩んできた道がそれを証明している」と締め括った。
羽地会頭は開会の挨拶で、佳子内親王殿下のご来伯に伴い、数カ所でご引見を受ける機会があり、「ご自身の言葉で語られ、丁寧かつとても自然体で話しかけられ、先人への敬意を肌で感じた」などと報告した上で、今後の商議所の活動をより多様な議論が深められる場にしたいとの方針を述べた。
清水享在サンパウロ総領事は、マットグロッソ州知事が6月、南マットグロッソ州知事が8月、サンパウロ州知事も7〜8月頃訪日予定だとし、「こんなに多数の知事が訪日する機会は滅多にない。この機運や勢いをビジネスに活用を」と呼びかけた。
さらに日本の参議院選挙が7月3日に公示され、4日から13日まで在外投票が行われる予定とし、午前9時半から17時まで引っ越し後の総領事館の方に投票所を設けると発表した。
小室千帆首席領事が「4年間お世話になりました。7月初旬に帰朝する。25年前にリオ、今回サンパウロで勤務でき、外務省人生の宝物となった」と離任の挨拶を行った。
新入会員挨拶では、電磁鉄芯業界のリーダー社のテッシン商工の山口西国ヤスコ社長、ホースとパイプ等の建材専門メーカーのカナフレックス社の金子アントニオ社長らが会社紹介をした。
ブラジル日本都道府県人会連合会の谷口ジョゼ会長は、イビラプエラ公園の開拓先亡者慰霊碑の改修工事に関して「建立50周年を迎えて本格的な改修が必要になった」と寄付の呼びかけを行った。