site.title

《記者コラム》ロラパルーザにも=「世代交代」の波到来か?

2025年4月4日

オリヴィア・ロドリゴの今年のステージより(Instagram)
オリヴィア・ロドリゴの今年のステージより(Instagram)

 サンパウロ市最大の国際音楽イベント「ロラパルーザ・ブラジル」が3月28〜30日に開催された。同イベントは2012年に始まり、パンデミックで2回休止したが、現在では市内イベントとして最も市外、州外からの観光客を惹きつける、サンパウロ市の観光ビジネスにとって不可欠なイベントとなった。今や開催期間中の地下鉄が24時間営業になるほどだ。毎年コンスタントに20〜30万人の動員を見込むフェスティバルというのは市にとってそれほどまでに魅力的なのだ。
 ただ、ここ数年、とりわけパンデミック後、ある現象が起きている。それは古株の「ロラ・ファン」が出演者ラインナップを激しく批判するというものだ。曰く「以前はロックのイベントだったのに、最近ではポップなサウンドの物ばかりだ」。こうした不満が頻繁にネット上にあふれかえるようになっている。
 この現象は2010年代半ばのアメリカで起き始めた。同国ではロック音楽の不振から出演者の傾向がヒップホップや女性のダンス・ポップに変わった。その影響がパンデミック後にブラジルへ及んできた。
 ロラ・ファンの批判に関しては一定の理解はできる。アメリカでそのような傾向が現れた時、コラム子も抵抗があったからだ。コラム子は音楽フェスを「一般で流行っているものでなく、本物のアーティストを探しに行くための場所」と捉えていた。
 だが、最近は「ロラパルーザがサンパウロ市で始まった頃の世代に人気のあるアーティストたちがパワーダウンしたから仕方がないのでは」「さらに下の世代がもっとエキサイティングな音楽やアーティストを求めている。それならば世代交代も仕方ないのでは」と思うようになった。
 パンデミック以降、ロックに盛り返し傾向が出てきている。だが、それはロラパルーザの初期の世代が求めている「男のバンド」ではなく、20歳前後の若い女性ソロ・アーティストによるものだ。2023年の目玉だったビリー・アイリッシュや今年のトリの一つだったオリヴィア・ロドリゴがその代表と言える。
 彼女たちは人気だけでなく批評家の評価も高いのだが、30〜40代に差し掛かったロラパルーザの古株世代は「サブスクやtiktokでインスタントに人気になっただけの不毛のアイドル」などと、事実確認も行わず、ネット上に誹謗中傷交じりに書き殴り、嫌な空気を撒き散らしている。
 10年を超える歴史を持ったイベントが故の苦悩だが、ここをどう凌ぐかもロラパルーザの腕の見せ所となりそうだ。(陽)


《記者コラム》「健やかな心」を保とう=立ち止まることの必要性前の記事 《記者コラム》「健やかな心」を保とう=立ち止まることの必要性《記者コラム》トランプ関税で何が起きるか?=経済危機から半大統領制議論も=すでに仕組まれた政治的な伏線次の記事《記者コラム》トランプ関税で何が起きるか?=経済危機から半大統領制議論も=すでに仕組まれた政治的な伏線
Loading...