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《記者コラム》セレソンの監督人事先延ばしに嫌な予感

2025年4月11日

ジョルジェ・ジェズス氏(Instagram)
ジョルジェ・ジェズス氏(Instagram)

 「セレソン(ブラジル代表)の監督発表は南米予選の次節までに」。ブラジル・サッカー協会(CBF)のこの発表を聞いた時、「これでは22年W杯の失敗の繰り返しになるのではないか」とすごく嫌な予感がした。

 解任されたドリヴァル・ジュニオル氏の後任を外国人監督から選ぼうとしている点は評価できる。かねてから当コラムでも同様の主張をしてきた。そしてその候補としてポルトガル人のジョルジェ・ジェズス氏が上がっている。最近のブラジルサッカーをよく理解しているポルトガル人監督を選ぶべきとも度々主張してきたので、「やっとか」との思いがありつつも、方向性そのものは間違っていないと思うところだ。
 だが、外国人監督の起用にこだわりすぎるあまり、監督が決まらなくなっている。これは誰が監督に就任するかということよりもはるかにマイナスが大きい。そのことをCBF側はしっかり理解するべきだ。
 思えば2023年、CBFはレアル・マドリッドのカルロ・アンチェロッティ氏起用という、あまりにも高すぎる理想を持って監督探しを始め、同氏との口約束を信じて舞い上がり、1年間を代行監督で乗り切ろうとした。
 しかし、これが何を生んだか。チームの方向性がまとまらず、宙ぶらりん状態になった。そしてこの代行監督期間中の試合成績が今ひとつだった上に、カルロ氏との約束が破断。そこでドリヴァル氏の登場となったが、ここまできても方向性は固まらなかった。こうして26年W杯に向けたスタートでつまずいた後遺症はいまだ残ってしまっている。
 こうしたこともあり、次の体制ではこれまで以上に強烈な求心力を持った監督が必要となる。次節は残り4試合となった南米予選。セレソンの予選突破を決定付ける重要な試合になる。そこに監督が決まらないのでは、予選突破にも不安が残る。これまでの戦績を見て予選落ちはないと思うが、よもやのプレーオフでの進出決定もありえない話ではない。
 監督決定が遅れている理由は有力候補のジェズス氏が指揮を執っているアル・ヒラルがクラブW杯の試合を6月に控えているからだ。同氏がアル・ヒラルに違約金を支払ってでも辞任を強く申し出ないことがセレソン監督決定の先延ばしを招く原因となっている。
 こうなれば取るべき方法は2つしかないと思われる。一つはジェズス氏を諦めてパルメイラスのポルトガル人監督アベル・フェレイラ氏を起用すること。もう一つはジェズス氏と監督契約を交わし、助監督としてジェズス氏を強く信奉するフラメンゴの現監督で元W杯セレソン選手、そして未来のセレソン監督との呼び声の高いフィリペ・ルイス氏を迎え入れることだ。もはやどちらかを選択するしかなく、そしてこれにしくじればセレソンの今後はかなり苦しいものになるだろう。(陽)


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